鍼は道にあり

第4回

 

鍼と道〔タオ〕

中国の古い医書である『黄帝内経』の中に「鍼は極めて小さいものだと思うが、その働きが上は天に、下は地に、中は人に合す」と述べています。これについて、姚止庵という人は「病の治療に鍼は必要だが、鍼は器であって、治病の道理は道にあり」と注釈し、鍼によって治癒効果がもたらされるのは、その根底に道の働きがあるからと説いています。
 
 

道〔タオ〕

では、道とはいったい、何者なんでしょう? 老子の『道徳経』には、このようにあります。
 
 「物有り混成し、天地に先んじて生ず。寂たり寞たり、独立して改らず、周行して殆まらず。以て天下の母と為すべし。吾れその名を知らず、これに字して道と曰う」
 
 道〔タオ〕…それは宇宙の誕生以前から既に存在する天地万物の始原、母のように凡てを包み育む大いなる存在、世界の凡ての事象の奥にある法則だといえるでしょう。でも、、それすらも一つの形容にすぎず、道を正しく言い表せているとはいえないようです。
そう言ってしまうと、「えっ!」と頭を抱えてしまうかもしれませんが、名にできない境地、言葉で表わせない意味、知ろうとして知れるものでなく、実体はないが存在する、そのような存在が「道」というものなのです。
 
道はこの世界の真理のような存在ですから、道について得ることができれば人や天地・自然に合い通じることにほかなりません。
鍼医が道を得れば、病や医療に精通できることでしょう。
患者が道を得れば、養生に精通し健やかな体と康らかな心でいられることでしょう。
 
 
 

2019-07-31 記す